南伊勢町のみかん栽培の歴史

●南伊勢町のみかん作りは、明治40年頃にはまだみかん園としてではなく、家の庭に植えてある程度でした。 その後、温州みかんを取り入れてみかん園作りを始めたのは、五ヶ所浦の山本籐七さん、桂市太郎さん、切原の中西重兵衛さん、船越の東留吉さんたちであったといわれています。そして、今のみかん園のもとが作られたのです。 そのころは、農家の副業として、蚕を飼うことが盛んでしたが、城者正得さんは、みかん作りのよさを説き、みかん園の開園に力をそそぎ、大正13年に「すすむ会」をつくり、みかん作りを広げる為に努力しました。 昭和2年には、みかんの出荷組合ができ、各地の市場でも「五ヶ所みかん」の名があがり、南勢地方のみかんを代表するようになりました。 その後、町内のあちらこちらにみかん園が広げられさかんになってきました。更に、品種改良が行われたり、新種が作られたりして、「五ヶ所みかん」「内瀬みかん」と呼ばれるような、美味しいみかんが作られています。 (南勢町教育委員会発行「わたしたちの南勢町」より抜粋)

みかんの栄養価・・・・・食効果・・・1日2個で健康維持

●冬至には柚湯に浸かる習慣がある。古の人々は何と合理的だと驚かされる。実はこの柚、温州みかんに次いでβ-クリプトキサンチン多く含まれる柑橘類だそうだ。ガンの発生を促す発ガン性物質や活性酸素などから細胞膜を守ってくれるという、昨今有名になったβ-クリプトキサンチンが温州みかんの成分に多く含まれているということをニュースでお聞きになった方も多いだろう。このβ-クリプトキサンチンは他の柑橘類にも含まれるが、温州みかんや柚には一般輸入オレンジの数十倍の内成分が確認されている。

●1個100g程度のみかんを2個食べれば約70mgのビタミンCが摂取できる。これは成人一人あたりの一日の適切な摂取量です。ビタミンCで有名なレモンの1個当りの含有率はみかんより遥かに高いが、丸々1個をかじりつくす人は少ない筈。そこで果汁にすれば、手が掛かる上にその全てのビタミンCを抽出する訳にもいかないので、その栄養価は落ち40mg程度、口に運ぶ容易さを考えればみかんに及ぶものはないだろう。

●みかんのじょうのう袋・内果皮(すじ)には、ビタミンCの酸化を防ぐ効用があるへスぺリジン(ビタミン様物質で、以前はビタミンPと呼称)という成分を含有する。また、ヘスペリジンには毛細血管を丈夫にする働きもあるので、高血圧症の抑止効果が期待できる。この他に食物繊維を多く含むので、大腸を清浄し便秘を解消させる効果も期待できる。

●柑橘に含まれるクエン酸は血液をサラサラにし、コレステロールを下げ、さらに栄養の吸収率を高めて抵抗力をアップするなどの効果がある。

五ヶ所みかんが美味しい訳・・・・・水はけの良い地質と気候

● 地質…排水、通気性の良い黄色土壌と海に面した南向きで急傾斜の段々畑の地質

● 気候…熊野灘を流れる黒潮の影響を受け、冬でも温暖で高温多雨(平均温度16.5以上、積算降雨量2000~3000)の気候

● 完熟少量出荷で他の有名産地に比べると幾分酸味を残こすコクのある個性的な味

温州みかん可食部100gあたりの成分

やっぱり怖い?・・・輸入モノのポストハーベスト農薬の残留

輸入物の柑橘果実は、国内栽培農家に被害を及ぼさないためのミバエの防除や長期移送中の品質劣化防止のために、いろいろな農薬・薬品を輸出時に散布使用されます。この農薬は育成中に使用される農薬と明確に区分されポストハーベスト農薬と呼ばれています。 とくに、生食用輸入柑橘は本来人間に有害である催奇性防カビ・防腐剤のプールに充分に漬け込まれて輸出されるものが大半です。もちろん、通関時に数値検査を受けて市場に出回る訳ですから、普通に食せば数値的には安全といえば安全です。しかし、普通に食べればという条件がつきます。皮付きで絞ったり、皮付きままカクテルや紅茶に添えたり、ましては丸かじり(あんまりいない?)なんてことをすると、その成分を少量ながらも摂取してしまうこととなります。輸入柑橘を食べるときは、まずきれいに水洗いし皮を取り除き、その後手洗いをしてから食する習慣をつけるほうが、安心でしょう・・・。 これは、あくまでも生食用輸入柑橘のことで加工されたジュースは別物。どうしても簡単に常食したい人は現地で加工されたもの(輸出後のものは意味がない?・・・もちろん生食用は不可)をネットで購入するのが一番かな?

減薬のための生態系農業

農薬を一切使用しない・・・・・、全栽培農家が憧れる農業です。 現実を見ると消費者の見た目の良さの商品選びと消費者が望む商品の安全性を天秤にかけて、生産者はより理想に近い商品を生産しなければなりません。 農薬(防虫・防除剤)は、生態系の循環の輪を断ち切ってしまう物質。有害な昆虫類を駆除するだけでなく、知らぬうちに無害な、また有用な昆虫や細菌までも自然界から排除してしまいます。その結果は・・・バランスの崩れた環境には、より強力で有害な害虫がはびこり、耐性のついた細菌が繁栄します。こうなるとより強力な農薬を使うほかなく、まさに薬漬けの悪循環となります。生態系の循環の輪を農薬が切ったように、この悪循環の輪を切れないかと試行錯誤を続けながら、生態系農業の実験が各地の試験場や生産農家の中で行われています。 新農園の開園を機会に当園も、土壌環境に影響を与える除草剤の使用を控えるためにナギナタガヤやヘヤリーベッチなどの雑草を使った草生有虫栽培を行ない、より自然に近い形の生態系農業を目指しています。有機農薬(木酢液・ぼかし肥料など)の使用により従来の防虫防除剤の使用を控えたり、害虫天敵生物のための環境保全、スプリンクラーなどの給水装置・タイベック被膜などの防水幕による早期糖度調整など、生態系の循環の輪を崩さないで減薬の効果を上げる工夫をしています。 また、生産出荷から消費までの期間をなるべく短かく抑えるために直売店を常設し、消費者の理解をより深めるために商品の細かい等級(ギフト用・ふぞろい家庭用のみ)を廃止した新しい販売方法を施行中です。

セミノールはどうして食べにくいの?土実樹が目指す樹上完熟セミノール

強烈な芳香と独特の艶肌と体色を持つセミノール。このセミノールはカラマンダリンと共に生まれはアメリカながら、当地五ヶ所浦が市場栽培のための育ちの聖地。地元の篤志家桂清吉(かつらせいきち)氏が強い酸味をもつアメリカ産セミノール種の枝代わりを偶然に同氏の農園で発見し、市場欲求にあう栽培法(袋掛け樹上越冬)を開発し、産業商品化させた雑柑種です。  輸入オレンジ解禁前の当時の温州みかん~夏みかんの柑橘販売市場の合間(端境期)を埋める時期に販売されたセミノールは、その普及と共に各地で栽培されるようになり先を争って市場(関西地域)に投入されるようになりました。市場に出たセミノールは、その強烈な印象を与える味・香り・色・ツヤがゆえに、間違った固定観念を消費者や流通業者に植え付けてしまったようです。 「皮を剥き辛く、美味しいがセミノールは食べにくい・・・・・・。」 多くのセミノールは早期出荷のために、完熟直後に樹上で時を経ずに収穫を済ませ、倉庫で酸が落ちるのを待って出庫します(みかんの味とコクは甘味と酸味、酸味を抑えることで甘味を演出しています。貯蔵することで甘味が落ちたり増したりすることはありません)。元々セミノールは完熟しても皮が剥きにくい柑橘種で、完熟直後に収穫されたセミノールの果実が剥きにくいのは当たり前です。表皮と内袋が取れにくいのは成熟期の養分補給を未だ維持しているためで、セミノールも完熟してからしばらくすると手で簡単に剥けるようになります。 「じゃあどうして剥きやすく完熟してから出荷しないの・・・・?」  これは、答えは簡単です。  一つの理由は市場関係者が嫌うからです。樹上のセミノール実はみかんの果実には生育時期の水分過多による、『浮き』という現象が存在します。ブカブカに表皮がたるんだみかんを皆さんも一度はご覧になったことがあると思います。このようなみかんは市場では商品価値が著しく下がります。「剥きにくいが美味しい」が強印象だったセミノールが剥きやすいと、どうなると思いますか。「『浮き』が入っているよ、これじゃ市場に出せないよ。」という返事がおそらく返ってくるでしょう。  もう一つの理由は栽培農家が嫌うからです。どんな農作物でもそうですが、旬を過ぎた作物は商品価値が下がります。セミノールのように全国規模の販路を持たない(ネット販売は別:セミノールは関西・中京・九州市場)地域限定流通商品は、初物(ハウス)時期には持て囃されて喜ばれますが、旬時期には既に市場に商品が溢れ返り値が崩れ始めます。それもその筈、収穫済みの出荷時期を揃えた蔵出し商品ですから・・・・ハウス完熟以外の露地セミノールはなるべく出荷を急ぎたい筈です。 そのほかに、樹に成らせたまま熟成を進めると褪色がはじまり味も若干ボケてしまいます。味と食べ易さを天秤にかけて商品を開発するのは至難の業かもしれません。

しかし土実樹は、このような誤解・固定観念を少しでも解きたいと考え、現在主流の出荷時期を数週ずらし、本来出荷すべき時期である樹上熟成セミノールの一部販売を予定しています。現在のセミノールの印象とは多少見た目は変わりますが(表皮のツヤ・キメが多少落ち、果実がひと回り大きくなる可能性がある)、樹と対話しながら消費者のご理解も期待して受注出荷したいと思っています。 『剥きやすくて美味しい完熟セミノール』、温州みかんと同様にテーブルに山積みされたセミノールから、ひとつ気軽に取って食べることのできる商品を提供してみたいと考えています。

みかんの皮が環境を守る・・・・リモネンって知ってる?

まずリモネンを知る前に、みかん(柑橘)の構造はどうなっているかご存知ですか?柑橘類の果実は表面の果皮、果皮の内壁にある白い部分・中果皮(『アルベド』)、『種子』、『じょうのう膜』(さのうを包む内袋)、通常食される『さのう』で構成されています。

果皮の表面にはプツプツした油胞と呼ばれる細胞を見ることができます。この中に含まれている精油成分は、テルペン系炭化水素と呼ばれる有機化合物の仲間で、手で皮をむいたときに油胞が壊れて染み出てきます。このとき柑橘特有の香りを発しますが、この香りの成分がリモネンです(パイン系の香りはピネンという成分)。  リモネンには細胞を保護する酵素の生成を活性化し、消化機能の亢進や抗菌作用があり、胃腸の機能を活発にし、ウィルスや細菌による感染症にも効果があり、中枢神経の興奮を鎮静化する作用や発がん抑制作用などに有効であると報告がされていますが、実はその他に凄い力を持っている物質なんです。  リモネンの商業利用としては、食品添加物としてガムや食品などの香料として使用されているほか、剥離・脱脂効果を利用した石鹸や紙おむつの接着剤の添加剤としての利用や、半導体製造時のフロン洗浄代替剤などとして活用されているそうです。その他に有限資源を維持し、同時に自然環境を守ることのできるリサイクルの潤滑油(実際は溶剤)としての働きを担っています。  みかんの皮をつまむと油胞が潰れてリモネンを含む精油分が飛び出ると先にも述べましたが、この物質を発砲スチロールに擦り付けるとアラ不思議・・発砲スチロールが溶け出します。リモネンには発泡スチロールをはじめとするプラスチック類の一部を溶かす効力があります。この力を利用して世界のソニーが発砲スチロールリサイクルのプラント設備・回収車などを開発し、現在運用中です。  柑橘の皮450個分から抽出された40gのリモネンを20gの発泡スチロールと混合し、プラントにより分離再処理すると20gのポリスチレンの再生ペレット(発砲スチロールの素)と39.6gのリモネンが分離されます。運搬用緩衝材として加工が簡単で安価でありながら、自然界では分解できないと厄介物扱いの発砲スチロールが、安全に処理されてしかも効率よくリサイクルできる便利な物質になり、再度見直されました。従来熱で溶かされると不純物が混ざり、大量のバージンペレット(約70%)を加えなければ再利用できなかったリサイクル用再生ペレットは回収されても利用価値が少なかったり、処理に困ってそのまま焼き捨てられ、自然環境を汚していた未処理の発砲スチロールをみかんの皮が救ったのです。  みかんの皮って偉いんですね・・・・・それを商業化しているソニーさんも!